これまでの例文の主語は名詞一語でしたが、英語の長文では様々な種類のSがあります。当然英語の長文を読解していく中で、名詞一語ではないSも見抜けなければなりません。今回はそういった一語ではないS、具体的に言えば名詞句、名詞節がSになる場合を取り扱っていきます。
It is wrong to tell lies.
ItがS、isがV、Cがwrongというのはわかりましたか? isは文型SVかSVCを構成すると知っていれば簡単に文型を見抜くことができます。
さて残ったto tell liesは一体何でしょうか? SVC、それぞれの文の要素が何と対応しているのかがわかっていますから、このto tell liesは余計なもの、つまり副詞ということでしょうか?
ここではto tell liesは副詞ではありません。もしこれが副詞的用法の不定詞だとしたら、Itは何を指すのでしょうか? もちろんIt’s rainy.のようにItが特定の何かを指さない場合もありますが、それは決まった表現の時のみです。
このItはto tell liesを指す形式主語(仮主語)のitです。したがって、実質to tell liesがSとなりますから、副詞的用法ではなく名詞的用法の不定詞なのです。このように名詞一語ではなく名詞句が主語になることもあります。
文型はSVCですから、訳は「嘘をつくのは悪いことだ」です。ちなみにこの文はTo tell lies is wrong.としてもよいのですが、Sが長くなりバランスが悪くなります。それを避けるために形式主語を用いるのです。
例文はアンカーコズミカ英和辞典から引用しました。
It’s a pity that you cannot join our trip.
単語・熟語
pity:残念なこと
この例文でもまた形式主語が使われていることに気づきましたか? 文頭のItはthat you cannot join our tripの代わりです。このように形式主語のitは名詞節の代わりをすることもあります。
文型はSVCですから、訳は「私達の旅行にあなたが参加できないのは残念です」となります。
例文はデュアルスコープ総合英語から引用しました。
Getting up early is good for your health.
SはGetting up earlyです。なぜなら、Gettingは動名詞だからです。残りはこれまで通り考えれば問題ないですね。Vがis、Cがgoodとなり、for your healthは余計なもの、つまり副詞句です。
文型はSVCですから、訳は「早起きすることは健康によい」となります。
例文はデュアルスコープ総合英語から引用しました。
全てに共通するのは主語は名詞だということです。名詞句にせよ名詞節にせよ、名詞であることには変わりません。したがって名詞句、名詞節が主語になるのはごく自然なことなのです。
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