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【英文冒頭解説】透明マントを着た魚がいる

投稿日:2015年12月29日(火)
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日本語タイトル 透明マントを着た魚がいる。
英語タイトル Some fish wear an invisibility cloak
日付 Dec 15, 2015
サイトのURL https://student.societyforscience.org/article/some-fish-wear-invisibility-cloak

Fish that swim in the open ocean have nowhere to hide from hungry predators. But some may have evolved a kind of natural invisibility cloak that helps them hide in plain sight. Understanding how it works may let scientists and engineers develop new forms of ocean camouflage.

日本語訳

広々とした海を泳ぐ魚には腹を空かした捕食者から隠れる場所がない。しかし、はっきりと見える場所で自分達が隠れるのを助ける、一種の自然の透明マントを進化させた魚もいる。そのマントがどのように機能しているかを理解することによって、科学者や技術者は海のカモフラージュの新しい形態を開発することができるかもしれない。

単語・熟語

predator:捕食者
invisibility cloak:透明マント
in plain sight:はっきりと見える範囲で

構文

タイトルでも使われているsomeは意外と訳すのが難しい単語の一つです。意味としては「いくつかの~」ではありますが、この訳をそのまま使ってしまうと何ともぎこちない日本語になってしまうことがあります。例えば、タイトルは「いくつかの魚は透明マントを着ている」とすることもできますが、日本語としては不自然ではないでしょうか。これを避けるために、「~(someが修飾する名詞)もいる」と訳すのです。今回の文もそのように訳しています。

ここでのsomeのイメージは、ある集団がありその中の一部を表す、というものです。今回の場合、魚という一つの集団があり、その中にカモフラージュとして機能するマントを着た魚がいる、となります。このsomeは以下に示す漠然とした量を表すsomeとは別に理解しておきましょう。

ex)Some people came to see you when you were out.留守中に何人か君を訪ねて来たよ。
(ウィズダム英和辞典より引用)

Understanding以下の訳し方については「【英文冒頭解説】神奈川県の保育園で男の子の赤ちゃんが頭蓋骨が骨折して亡くなっているところを発見される」の一文目の構文の項目をご覧ください。可能の意味として「できる」と訳されているのは、letには許可の意味が込められているからです。X(ある事柄)をすることが許可されるということは、Xをする権利や能力を持つわけですから、結果的にXをすることができることになります。ですから許可のニュアンスから可能のニュアンスが生まれるのです。allow A to doと同じだと思ってもらって構いません。

Some species of fish have microscopic structures called platelets in their skin and scales. These platelets look like thin, flat crystals. And they are so small that 100 could fit in a grain of sand! “It’s why fish seem so shiny and reflective,” says Molly Cummings. She is a biologist at the University of Texas at Austin. She also is a co-author of the new study.

日本語訳

魚の中には、皮膚と鱗の中に血小板と呼ばれる非常に小さい構造を持った種が存在する。これらの血小板は薄くて平らな水晶に似ている。それらは100個で砂粒一つに匹敵するほど小さいです。「そういうわけで魚はとても光り、反射しているように見える」とMolly Cummingsは話す。彼女はオースティンにあるテキサス大学の生物学者であり、新しい研究の共同著者でもある。

単語・熟語

microscopic:顕微鏡でしか見えない、非常に小さい
platelet:血小板
scale:鱗
it’s why:そういうわけで

構文

Some species of fishのsomeは先程と同じ訳し方で問題ないでしょう。species of fishを「魚の種」と訳すと意味は通じるかもしれませんが、あまり聞き慣れない日本語だったので、最初に「魚の中には」と書きました。

thin, flat crystalsとseem so shiny and reflectiveを比べてみて違和感を抱いた方はいらっしゃるでしょうか。前者にはandがなく、誤りだと思われるかもしれませんが、どちらも文法的に正しいです。

前者のように限定的位置(名詞の前)に形容詞がある場合、基本的にandは用いられません。ただ今回、thinもflatも形状という面では同じような情報を与えていると言えます。このような形容詞が並んでいる場合はandを使うことも可能です。andを使用した場合、好意的、あるいは否定的なニュアンスが込められます。コンマで並べられている時には特にニュアンスが込められるといったことはありません。言い換えれば、コンマで並べられている場合に、その場に応じたニュアンスを込めたいのであればandを使うと良いでしょう。

この限定的位置の形容詞には例外があり、必ずandを用いなければならない場合があります。

ex)a concrete and glass factoryコンクリートとガラスの工場
(オックスフォード実例現代英語用法辞典P.21より引用)

この例では二つの形容詞が修飾する名詞の異なった部分を説明しています。工場の壁などはコンクリートで出来ていますが、窓もあり、それは当然コンクリートではなくガラスで出来ているはずです。つまり、コンクリートで出来ている部分とガラスで出来ている部分があると言いたいわけです。もし、andを用いなければ、コンクリートとガラスを混ぜ合わせたものから出来た工場のようなイメージになるのではないでしょうか。

ex)a yellow and black sports car黄色と黒のツートンカラーのスポーツカー
ex)hot and cold drinks(=hot drinks and cold drinks)暖かい飲み物と冷たい飲み物
(オックスフォード実例現代英語用法辞典P.21より引用)

これらの例を見てみると、より理解が深まると思います。andがあることによって黄色に塗られた部分と黒く塗られた部分を持つスポーツカーとわかります。andがなければツートンカラーという訳は出てきません。下の例文で、もしandがなければ暖かくて冷たい飲み物という訳になり、なぞなぞのようになってしまいます。

また以下の例のような場合もandを用います。

ex) She’s a musical and artistic genius.彼女は音楽と美術の天才だ。
(オックスフォード実例現代英語用法辞典P.21より引用)

当たり前の話ですが、音楽と美術は別の分野です。このようにそれぞれの形容詞が異なった種類、分野に属する場合もandを用います。

一方で、後者のような叙述的位置(SVCのC)の場合、andを用いるのが普通です。三つ以上並んだ場合は通例通り最後にだけandを置きましょう。

※形容詞の並列におけるandの有無についてはオックスフォード実例現代英語用法辞典のP20,21を参考にしました。

英文解釈とは関係ありませんが、この記事を読んでいて一つ疑問に思ったことがありました。「そもそも光る必要はあるのか」ということです。光った方が目立ってしまって良くないのでは? と思ったので調べてみますと、こちらに素晴らしい解説がありました。「光を使った意外なカモフラージュ」を読むと、できるだけ光った方が海の中ではカモフラージュになることがわかりますね。

写真はリンク先から引用。

PDF版はこちらです。

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