日本語タイトル | 木から降りたことで、ついに人類は満足のいく夜の睡眠を獲得した。 |
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英語タイトル | Down From the Trees, Humans Finally Got a Decent Night’s Sleep |
日付 | Dec 17, 2015 |
サイトのURL | http://www.nytimes.com/2015/12/22/science/down-from-the-trees-humans-finally-got-a-decent-nights-sleep.html?hpw&rref=science&action=click&pgtype=Homepage&module=well-region®ion=bottom-well&WT.nav=bottom-well&_r=1 |
Over the past few million years, the ancestors of modern humans became dramatically different from other primates. Our forebears began walking upright, and they lost much of their body hair; they gained precision-grip fingers and developed gigantic brains.
日本語訳
この数百万年で、現代の人類の祖先は他の霊長類の動物とは劇的に異なるようになった。我々の先祖は直立して歩き始め、体毛の多くを失った。そして正確に握ることのできる指を獲得し、巨大な頭脳を発展させた。
単語・熟語
over:に渡って(期間を表します。その期間の上を渡って乗り越えていくようなイメージです)
ancestor:祖先
primate:(ヒトとサルを含む)霊長類の動物
forebear:[通例複数形]先祖
upright:直立した
gain:~を得る
構文
Our forebears began walking upright.の文型はSVCでしょう。もちろんuprightを副詞と解釈する(つまり文型はSV)ことも間違いではないとは思いますが、uprightを形容詞だと考えてSVCとした方がより適切だと思われます。なぜなら、SVCは「SはCの状態でVする」という訳し方があるからです。
ex)He died young.彼は若くして亡くなった。
この文もまたSVCです。少々意訳していますが、「彼は若い状態で死んだ」という直訳でも問題がないことは明白でしょう。同様に、今回の文も「我々の祖先は直立した状態で歩くことを始めた」と訳すことができます。
またSVCの特徴として「S=C」「SはCである」が成り立つことも覚えておきましょう。ちなみに今回の文では、「我々の祖先=直立した」「我々の祖先は直立していた」となります。
「;」の訳は多くの方が悩むところではありますが、基本的にand, or, so, but, for(というのは~だからだ)のいずれかの代わりだと思ってもらって構いません。ここではandの代わりです。
precision-grip fingersについてですが、まずはprecision-gripから説明します。名詞+名詞という形で一つの名詞をつくることがあります。例えばbook-shop「本屋」(bookshop, book shopと書くこともあります)のように、bookという名詞とshopという名詞が合体して一つの名詞が出来上がっています。この時、前の名詞は形容詞のように後ろの名詞を修飾します。ですから「本の店」すなわち「本屋」となるのです。同様にprecision-gripは「正確さ」と「握ること」という名詞が合体しているわけですからprecisionを形容詞のように捉えて、「正確な握り」あるいは「正確に握ること」と訳すことができます。ではこれを踏まえてprecision-grip fingersを考えてみますと、これもまた名詞+名詞の形になっていますから、precision-gripがfingersを修飾すると考えられます。ただ「正確な握りの指」「正確に握ることの指」としても意味がわからないので、文脈に照らして考えてみると、「precision-gripという能力を持ったfingers」と言えます。したがって、「正確に握ることのできる指」と訳すことができるのです。
※precisionを辞書で引くと、名詞の他に形容詞と分類されていることがあります。「では今回の説明は間違いだったのではないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。precisionが形容詞として使われる場合は名詞+名詞という形に限られているはずです。つまり根本は名詞であって、上記のような流れで形容詞のように働くのです。事実、「正確な」という訳を名詞の一部として捉え、[形容詞的に]と括弧付けで紹介している辞書もあります(アンカーコズミカ英和辞典)。
But early humans also may have evolved a less obvious but equally important advantage: a peculiar sleep pattern. “It’s really weird, compared to other primates,” said Dr. David R. Samson, a senior research scientist at Duke University.
日本語訳
しかし初期の人類は、(先の発展した部分ほど)当然ではないが等しく重要な長所も進化させたかもしれない。すなわちそれは奇妙な睡眠パターンです。「他の霊長類の動物と比較して、本当に奇妙だ」とデューク大学の上級科学研究員であるDavid R. Samson博士は話した。
単語・熟語
obvious:明白な/わかりきった、当然の
peculiar:奇妙な/[名詞の前では用いない]特有の、独特の
weird:変な、奇妙な(会話でよく使われる)
構文
比較級lessが用いられているのにthanがありません。これはthan以下をわざわざ書かなくてもわかるから省略されているのです。したがって、a less obvious but equally important advantageは「直立して歩くこと、正確に握る能力を持った指、巨大な頭脳などに比べて、(発展するのが)当たり前ではないがそれらと同じくらい重要な長所」と理解できます。
ここでの「:」は「すなわち、つまり」などと訳しましょう。
In the journal Evolutionary Anthropology, Dr. Samson and Dr. Charles L. Nunn, an evolutionary biologist at Duke, reported that human sleep is exceptionally short and deep, a pattern that may have helped give rise to our powerful minds.
日本語訳
『Evolutionary Anthropology(進化人類学)』誌で、Samson博士と、デューク大学の進化生物学者であるCharles L. Nunn博士は次のように報告した。人間の睡眠は非常に短くて深く、すなわちそういった(睡眠の)パターンは力強い理性をもたらす原因となったのかもしれない。
単語・熟語
anthropology:人類学
exceptionally:並はずれて、非常に/例外的に、特別に
give rise to A:Aを引き起こす
構文
exceptionally shortのように副詞が形容詞を修飾する時は、enoughを除いて必ずその形容詞の前に置かれます。
a pattern以下の解釈がとても難しいと思います。human sleep is exceptionally short and deepがa patternと同格であると解釈して訳しました。つまり、「人間の睡眠が非常に短くて深い」ことが「(睡眠)パターン」であるわけです。またthatが導く関係節の方を先に訳して、「人間の睡眠は非常に短くて深く、すなわちそれは力強い理性をもたらす原因となったのかもしれない(睡眠の)パターンである」としても構いません。どちらも意味することは同じですので、あとはどちらがより自然な日本語か、ということに注意すれば問題ないでしょう。
「英文つまみ食い」を読んでくださっている皆さんの中には、大学受験生の方もいらっしゃるでしょう。今回のa patternの箇所のように、学校や参考書で学んでいない構造の文が試験で出た際には、時間の制約があるので強引に文法や英文解釈だけで理解しようとせず、文脈から考えていくのも一つの手です。
写真はリンク先から引用。
PDF版はこちらです。
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